2008年2月2日(土)
今から何年も前、地元の広告製作会社さんの下請けとしてホームページ製作のお仕事をいただいていたときのこと。
(余談ですが、その広告製作会社さんはその当時ホームページ製作の経験と実績がありませんでした。自分が下請けとして製作をしたホームページが、後にその広告製作会社さんの実績となったのであります。)
こちらで製作をしたホームページを広告製作会社のご担当者のデザイナー様に見ていただきました。そして、返ってきた言葉が、
「こんなのデザインじゃない。」
です。
この言葉を聞いたとき、自分は意味が全く理解できませんでした。頭の中がはてなマークで一杯。しばし混乱。出来が悪いとか嫌いなどということならわかります。だけど、「デザインじゃない」って、どのような意味ですか?
あなたは「デザイン」というものを理解してそのようにおっしゃっているのですか?
と、問い質したくなりました。が、下請けという立場上、暴れるわけにはいきません。それに自分はデザイナーではありません。デザインの経験も実績も何もありません。デザイン専門学校を卒業しただけです。
優秀な人は別ですが、デザイン専門学校を出たからをいってもそれは自慢にも即戦力にもなりません。言葉は悪いけど、デザイン専門学校を出たくらいでは使いものにならない。経験が必要です。それは現役で従事していらっしゃる方ならよくご存じと思います。
だけど、「デザインじゃない」とおっしゃったご担当者様は、グラフィックデザイナーとしての経験と実績がおありでした。現役で従事していらっしゃる方の発言のほうがおそらく正しいのかもしれません。経験と実績のない自分には何も言い返せない。そこはぐっと堪えるしかなかった自分であります。
そのことや、それ以外にもいろいろあって自分は「デザイン」というものがわからなくなり、「デザイン」という言葉を自分は使ってはいけないと思うようになりました。そして「デザイン」という言葉をできるだけ使わないようにしたのです。
自分が使うことを恐れた「デザイン」という言葉を、たとえば肩書きで「○○(○○は職種)デザイナー」とか、「デザイン」という言葉を何のためらいもなくごく普通に使える方が、ずっとうらやましかった。
それから数年経過したある日、デザイン専門学校時代の先生の著書を購入。それを読んで自分は安堵しました。自分はまちがえていたわけじゃなかった。迷える自分を再び導いてくれた先生の書籍。やはり先生は偉大です。
自分は先生と直接お話をしたことはありません。が、自分は先生に二度救われました。一度目は先生の毎週の講議。二度目は先生の著書。講議はそのとき限りですが、書籍は手元に残ります。手元に残るっていいな。
それから少し軽くなったかもしれません。だけど「デザイン」という言葉を使うことに自分は今もためらいはあります。使っていいのか悩みます。迷います。が、こんなふうにしていったらいいかもしれないということを実践していくうちに見えてきたものが少しありました。でも、まだまだ全然足りませんけど。
「デザイン」という言葉は本当に難しい。特に自分のようなお馬鹿な人間には。だからこそ慎重に使わなければいけないと思っています。
そして、他の方の制作物に対して「デザインじゃない」と表現することだけはしないと心に誓った自分でありました。だってその表現はおかしいと思うもの。
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